室内空気とシックハウス
人が一生涯で一番口にするものって何だと思いますか?
日本人なら白ご飯???
いいえ、人は一生の中で一番「空気」を口にするんです。
人間の呼吸
人はじっとしているだけで、毎時0.5リットルもの空気を吸います。
1分あたり20回くらい呼吸をし、1日で大体15000~20000リットルの空気を吸うんです。
これを重さにすると20~25kgにもなります。
1日に食べ物はおよそ2kgぐらいを食べるわけですから、空気を吸う量というのはとても多い量だというのがわかります。
それだけ、空気を口にするということは、食べ物や飲み物の生産地や品質を気にするのと同じくらい、いやそれ以上に“空気の品質”に気を配る必要があるのではないでしょうか。
室内の空気
現代人は、約90%くらいは室内にいます。
ですので、室内の空気がキレイであるかどうかは非常に重要な話しです。
室内の空気ということでいうと、昔の家は気密性が低く隙間風があり、ある意味、自然に室内の空気が換気されていました。
ところが、現代の家はどんどん気密性が上がっており、換気をしっかりとおこなわなければ、室内の空気はどんどん汚れていく状況です。
汚染物質を出さない建物にすることが第一に重要ですが、同時に換気を計画的におこない、空気の入れ替える量を増やせば、相対的に室内の空気はキレイになります。
室内の空気汚染とシックハウス
室内の空気汚染ということでご存知の方も多いと思いますシックハウス。
シックハウスとは、住宅の高気密化や化学物質を放散する建材や内装材の使用などにより、住宅において化学物質による室内空気汚染が原因で体調不良などが生じる状態です。
汚染はホルムアルデヒドなど一つの原因物質だけで起きるわけではありません。
アセトアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなど塗料や接着剤にも含まれるものもあります。
換気の重要性
われわれの生活から出てくる化学物質をゼロにすることはできません。
ゼロにするという考え方よりも、できる限り放散を少なくして換気をきちんとすることの方が重要であると考えます。
海外のオフィスビルでは、オイルショックの前後に、換気量が多いと省エネルギーにならないということで、極端に必要換気量の基準を下げましたが、それにより気持ちが悪くなる人や体調不良を訴える人が逆に増えて「シックビル症候群」なるものまで発生しました。
日本のビルでは建築物衛生法の基準が厳しくこのような問題が起きませんでしたが、住宅では高気密高断熱が進んで、また多くの新建材が使われたために、住宅にシックハウス問題が起こったという背景があります。
新建材を全く使わないというのはなかなか難しい問題です。
無垢フローリングや漆喰などの建材を使うことはカンタンにできますが、ではキッチンの組立に接着剤は一切ない?家具に含まれる化学物質の問題はどうする?ということを考えると化学物質をゼロの住宅にするというのは現実的ではありません。
高気密高断熱の快適な住宅を叶えつつ、できるだけ新建材を抑え、かつ重要なことは「換気」を計画的におこなうことで、健康で快適な暮らしを手にすることができるのです。