間取り図からわかること、わからないこと
家づくりの楽しみや醍醐味といえば、やじゃり間取り図を決めることではないでしょうか。
建物を依頼する候補の工務店やハウスメーカーに間取りの希望や望む暮らし方、今までの暮らしの不満点などを伝えると、建設予定地の調査などをおこなった上で、ファーストプランをつくってきてくれます。
しかし、このファーストプランは最初の要望などをまとめた上での間取り図であり、これからさらに追加の要望や変更点を加えていき、徐々に間取り図を修正し、完成させていきます。
この間取り図の作成期間は、数ヶ月にもおよぶこともあります。
また、専門的な言葉や図面上での表現などもありますので、不明な場合は初期の段階からどんどん説明をしてもらうようにしましょう。
設計図書は複数枚ある
家を建てるにあたって工務店やハウスメーカーに設計を依頼すると、いわゆるみなさんが思われる図面(=平面図)以外にもいろんな図面が同時に出来上がってきます。
それぞれ別々の図面であり、図面の持つ意味も異なります。
ここでは主な代表的な図面とその意味についてご紹介いたします。
これを知っておくと、家づくりをより深く、また角度の違う視点での家づくりを進めることができます。
配置図
敷地の形と、建物の配置位置を示す図面
配置図とは、建物を建てる土地(=敷地)の形状や、境界線の長さ、またどこが境界なのか、土地と道路や隣地との高低差などが記されます。
また方角なども記載されており、周辺環境などが明記される場合もあります。
建物の配置される位置も記載されるため、建物と道路との距離、建物と隣地との距離なども詳細な寸法でわかります。
建物と道路との距離がわかると玄関からのアプローチ計画も立てやすく、高低差がある現場ではその段差処理にどのようなエクステリア工事をおこなうかなどの計画も立てやすくなります。
一方、隣地と建物との距離がわかれば、お隣さんの窓と計画している建物の窓とが向かい合わせになる可能性があるのか、通路として利用を考えている場合に人の通り道として十分な空き寸法が取れているのかなども確認できます。
平面図
間取りの基本を示す図面
一般的に間取り図といえば、この「平面図」のことを意味します。
不動産屋さんのチラシなどでもよく掲載されているのでイメージしやすいかと思います。
この平面図は家づくりの間取り図の中でも中心的な存在です。
リビングや各部屋の帖数などの大きさや形状、部屋と部屋がどう配置されているのか、洗面所や浴室などの家事動線の流れ、窓の配置や種類・大きさなどがわかります。
次の新居へ持込をしようと考えている家具や家電があれば、それを事前に伝えておけば図面にその家具や家電を落とし込んで図面作成してもらえるので、より新生活をイメージしやすいでしょう。
また、造作のカウンターやニッチなどをつくる場合も記載がされています。
あと上下階が同時に記載されていますので、2階のトイレの真下に寝室などがあれば配置替えや、防音対策を取らなければいけないことがわかります。
立面図
建物を外からみた図面
立面図は北側、東側、南側、西側の四面それぞれから建物を外から見たときの外面を現した図面です。
窓がどんな大きさなのか、取り付ける高さはどうなっているのか。
また、屋根の形状や屋根勾配、軒の出幅などもわかります。
外からのデザインにこだわる方には特に重要な図面になります。
また、道路斜線や北側斜線により一部屋根形状が変更する場合も、この立面図で確認することができます。
特に低層地域で家を建てる場合にはこの点を注意してみるようにしましょう。
動線をイメージする
平面図を見る場合はボーっと見るというよりは、朝起きてから朝食を取り、出勤や学校へ行き、帰宅して夕食を取り、家族団欒の上で、就寝という一日の流れを間取り図で追いながら想像してみることが重要です。
「ここのスペースに小さな収納があれば、お風呂に入る衣服を入れて置きやすいな」
「キッチンで仕事しながら、合間を見て洗面所で洗濯機を回したり、浴室洗いをしたいなら、こういう動線を確保したいな」
など、それぞれが思われる、希望する動線があると思います。
そういった家事動線、生活動線を意識して間取り図を見ることで、グッと希望に近づきます。
なんとなく、
「南側にはリビングで、北側に水回り」
「子供の部屋は続き部屋」
という部屋の配置だけの発想では、打ち合わせのたびに間取りが大きく変わり、何が良いのか訳がわからなくなり、考えもぶれてきます。
工務店やハウスメーカーには「どこにどんな部屋を配置したい」という具体的な配置や大きさを伝えるより、「こんな暮らしがしたい、今の家の不満点を解消したい」など、目指すべき家作り像を伝えて、間取り作成はおまかせしたほうがよりよくなります。
イメージの共有に画像は有効
間取り図を工務店やハウスメーカーと一緒に検討していくうえで重要なアイテムがあります。
それがネットなどでも簡単に手に入る施工実例などの「画像」です。
言葉で「ここはこうしたい」「こういうイメージ」と身振り手振りと、口頭の説明ではなかなか伝わりにくいことも多いのが家作りです。
具体的にこんなイメージという画像や写真があれば、工務店やハウスメーカーだけでなく、現場がスタートしたあとの大工さんや職人さんにも伝えやすいんです。
工務店やハウスメーカーと、大工さんや職人さんだけの間なら、専門用語が飛び交っても構いませんが、そこに建築の素人である施主様が加わるわけですから、やはり全員がイメージを共有しやすいものを取り揃えたいものです。
そのイメージの共有のためにも、やはりお気に入りの画像や写真はスクラップしておき、適宜取り出して打ち合わせなどで活用することで、よりイメージにあった間取り図の作成をすることができるしょう。