適所適量の法則を生かして各コーナーに収納スペースをつくる
タワー型収納かカウンター収納かはリビングで何をしたいかで決める
見せる収納と隠す収納のメリハリをつける
リビングは通常、家族団らんの場や、お客様をもてなす場ですが、家庭により重視したいポイントは異なります。
いずれにしても、モノが数多く使われる空間ですから「隠す収納」と「見せる収納」のメリハリをつけましょう。
リビングに多くのモノを収納して、かつすっきりと暮らしたいなら、高密度のタワー収納に扉をつけた隠す収納を設けるのがオススメ。
一方、趣味を生かしたりインテリア性を重視しつつ収納も充実させたいなら、カウンター収納がオススメ。
カウンター上部はインテリア小物などのディスプレイ台として活用し、下部はあふれがちな日用品をしまう、隠す収納にします。
このほか、インテリア性の高いキャビネットなど、見せる収納家具を置いて、室内の雰囲気づくりを自分なりに工夫するのもおしゃれです。
パソコンコーナーは周辺機器の収納を考えたい
パソコンは家族共有か個別に使うかが判断基準に
パソコンは男女を問わず幅広い年齢層に使われています。
仕事や趣味、勉強に使うほか、家計簿をつけたり料理のレシピを検索したりと、家事に役立てている方も多いでしょう。
まずは、家庭でどのようにパソコンを使うのかを考えておきましょう。
第一に考えたいのは、一定の場所に置いて家族みんなで共有するか、個々の好きな部屋に置いて使うかです。
子どもが自己管理できるようになるまでは、家族共有にしておくことをオススメします。
次にもしパソコンを共有にするなら、どこに置けば家族で最も使いやすいか、さらにはパソコンルームをつくって第二のリビングにするのかなど、家族のライフスタイルに合わせて使い方を考えましょう。
パソコンがノート型で持ち歩きができるとしても、やはり「住所=置き場所・定位置」は定めておきましょう。
逆にルーターやプリンターといった周辺機器やコード類の収納スペースも確保しなければならず、それらの配線も乱雑になりがちなので、すっきり片付く収納の場所とスペースを考えたいものです。
日用品はリビングかダイニングの近くにしまいたい
「見せる」と「隠す」は表裏一体のもの
薬類・アイロン・裁縫セット・アルバムやDVDなど日常の細々したものは、家族みんなが使うものですからリビングまたはダイニング、あるいは、その近くの廊下などにきちんと隠す収納を設けましょう。
適所に隠す収納があってこそ、インテリア性の高い見せる収納を楽しむことができます。
箸や小皿など銘々で使うものは食卓の近くにしまう
キッチンの食器棚に置くより使い勝手のいい収納場所
ある行為をおこなう場所に必要なモノを置く、ということが収納の基本ルール。
箸や小皿、カトラリー類、湯飲み茶わん、ナプキンなどは、キッチンの食器棚ではなく、実際に使うダイニングテーブルのそばに収納した方が勝手がよくなります。
家族が座っている位置から近い場所に収納してあれば、配膳を手伝ってもらう際にも動きがスムーズになります。
また、食事中に小皿がもっと欲しいといった場合も、わざわざキッチンまで取りに行かずに済みます。
また、ダイニングテーブル近くにつくりつけ収納や置き家具を配するスペースが取れない場合は、収納機能を備えたダイニングテーブルを活用するのも一案です。
キッチンと背面収納の距離は75~95cm程度と狭い方が便利
キッチンの理想形は「コックピット」型
キッチンは、すべての機能がコンパクトにおさまっていて、手を伸ばす、ちょっと振り返るくらいの動作であらゆる用が足せるのが理想形です。
たとえるならばコックピットのような納まりだと言えます。
キッチンでの作業は、冷蔵庫、シンク、加熱機器を結ぶ三角形のトライアングルが距離が短いほど作業効率が高まります。
そのレイアウトを考えたうえで、キッチンには高密度の収納スペースを確保して、調理作業のプロセスで使うものはできるだけワークトップ近くにおさめましょう。
最近はオープンな対面キッチンが増えていますが、背面をすべて食器や食材などの収納につかえば、振り返ってすぐに必要なモノが届きます。
キッチンと背面収納の間の通路幅は、75cm~95cm程度がベストです。
人間の肩幅は大体60cmほどなので、一人でキッチンに立つ場合は75cm程度が効率のいい距離感です。
意外にも狭い方が便利なのです。
二人で使う場合でも95cm程度あれば十分。
なお、背面の収納棚をダイニング側から見られたくない場合は、収納の扉をスライドドアにして隠してしまう方法もあります。
パントリーの広さは1帖程度で棚の奥行きは10~20cmがベスト
欲しいものを見つけやすくする浅い棚板が望ましい
キッチン周辺には1畳ほどの余裕があれば、パントリー(食品保存庫)を設けたい。
通常は缶詰や乾物、梅干しなどの保存食、お酒など食材の保存庫ですが、普段あまり使わない食器や家電製品、潮位器具、漆器類などまでいろいろ置けて便利です。
ここでも壁面に床から天井まで高密度のタワー型収納を採用し、一目で収納品のチェックができるように奥行きの浅い棚にします。
奥行きの深い棚は、奥のものが目につかず死蔵品になることがあるので、あまりオススメできません。
ただし、大きいサイズの皿や鍋、調理器具なども収納したい場合は、そのサイズに合わせて一部の棚板の奥行きを深くしても良いでしょう。
通常、パントリーはキッチンのそばに設けるのが一般的です。
ただし、動線を考えれば、玄関周辺に多目的の収納庫として設置する方法も便利です。
買い物から帰ってきたらすぐにしまうことができ、重い荷物をキッチンまで運ばずに済みメリットがあります。
また、通気のいい屋外に物置風に設ける方法もあります。
通気に気をつければ、ニオイのでる漬物や玉ねぎなどの根菜類も気兼ねなくおくことができます。
洗面台の下のキャビネットをあえて設けない選択肢もある
洗面所に十分な収納棚があれば洗面台の下をフリースペースに
洗面所に高密度のタワー型収納でたっぷりの収納が実現できたら、洗面カウンター下のキャビネットをあえて取り入れない形を採用することができます。
割高なキャビネットを設置しないことでコストダウンになるだけでなく、カウンター下が空いているので開放的で意外に便利です。
カウンターの上は洗面ボウルとカウンターのシンプルな構成にして、カウンター下の空間を自由に活用してみましょう。
足元に、洗面所や浴室の湿気対策に有効な通風窓を設けるのも、風が入るのでカビ対策になりオススメです。
カウンター下の空間には、脱衣かごや洗濯カゴがすっきり入り、また椅子を置けば腰かけて化粧をしたり、歯磨きをしたりできます。
このほか、窓のそばにニオイの気になるペット用品を置くなど、ぞれぞれ生活に合った柔軟な使い方ができます。
カウンターの上に吊りキャビネットを設けず、ハイサイド窓を設けるケースもあります。
ハイサイド窓は外からの視線もさほど気にならず、通風と採光に効果的です。
なお、最近はトイレを2個所つくる家庭が増えてきました。
その場合、ひとつに洗面ボウルとカウンターを設置して、来客用トイレも兼ねるパウダールームタイプにするのがオススメです。
こうすれば、来客時に家族用の洗面所をあわててキレイにする必要はありません。
掃除用のブラシなどはシンプルな目隠し板をつくって、目につかないようにしておくと良いでしょう。
下部をあけた吊り押し入れで4畳半の和室が6畳になる
押し入れも柔軟な発想で暮らしに合ったつくりに
近年の住まいの多くは、機能性を重視した洋室仕様になっており、純和風の多目的に使える広い和室は減っています。
寝室においても、ベッドとクローゼットを配するか、押し入れを設けて布団を敷いて寝るかは家族の嗜好により意見の分かれるところです。
ベッドの方が布団よりスペースを取りますが、クローゼットは奥行きが浅くて済みます。
毎日の布団の上げ下ろし作業が必要ないのもメリットです。
一方、布団を収納する押し入れは、奥行きがたっぷりの収納が必要になってきます。
昔ながらの上段と下段に仕切り、上に天袋を備えた押し入れは、奥行きが半間(91cm)と、かなり深くなっています。
この押し入れも、生活スタイルに合わせて使い勝手の良いものに変える必要が出てきます。
多目的に使える便利な空間として、あるいは来客用として和室を取り入れたいという方は、押し入れに一工夫を入れましょう。
下部をあけた吊り押し入れにすると、床の面積が増えて、例えば4畳半が6畳になります。
内部は収納するものに合わせて、仕切りや棚、ハンガーパイプなどを組み合わせましょう。
寝室の面積を有効利用できるのは壁面のクローゼット
室内の広がり感を高めてくつろぎを演出
寝室に収納するものは衣類や寝具がメインになりますが、家庭によってはさまざまなものも入ってきます。
部屋が狭い場合は特に、モノの出し入れがスムーズにできるように動線を配慮する必要があります。
洋室のつくりつけ収納は、壁面のクローゼットと、人が歩いて入れる部屋型の収納スペースであるウォークインクローゼットの2種類があります。
ウォークインクローゼットは収納スペースに加えて、人が出入りする通路スペースが必要になり、余裕のある広さが求められます。
但し、扉を設置しない分、ローコストになるというメリットも。
棚には開け閉めの簡単な薄手のカーテンなどをつけておくと良いでしょう。
一方、クローゼットはモノの出し入れのために人が歩くため通路スペースを設ける必要がありません。
少ない面積を有効に使いたいなら、こちらがオススメです。
引き戸、折れ戸、開き戸のいずれかを採用し、狭い空間に扉がつかえないプランニングしましょう。