建物内の温度と健康の関係性
気温と健康には密接な関係がある
先日ある実験がおこなわれました。
マウスの子供を次の5パターンの環境
「コンクリートむき出しケージ」「合板床ケージ」「塗装合板ケージ」「クッションフロア床ケージ」「木製ケージ」
に入れて、生存率を調査したものです。
実験の結果、木製ケージにいるマウスの生存率が最も高いことがわかりました。
これは、木材は熱伝導率が悪く保温性が高いためと推測されます。
それとは反対に、もっとも生存率が低いのが「コンクリート製ケージ」にいるマウスでした。
コンクリートは温度が下がってしまうのでこのような結果になっているのかと思います。
」「合板床ケージ」「塗装合板ケージ」「クッションフロア床ケージ」に大差はありませんでした。
このマウスの実験からわかるように気温と健康には密接な関係があるとされています。
季節の影響も受けやすい傾向
事実、人間でも「死亡率」が一年で一番高いのは冬場です。
この季節間の変動は明らかで、循環器系、呼吸器系、神経系、血管系などさまざまな死因で同じ傾向が見られます。
実は冬が最も危険という傾向は昔からあったわけではなく、日本がまだ発展途上にあった明治時代半ばまでは死亡率がもっとも高かったのは夏の暑い時期でした。
その後、徐々に夏に対して冬に亡くなる人の割合が高まり、高度経済成長期には完全に逆転しました。
これは日本に限ったことではなく、ほぼ全ての先進国で似たような現象が見られます。
発展途上の社会で夏の死亡リスクが高い原因は、新鮮な食事が調達しにくいからであり、食あたりで命を落とす人が多いからではないかと言われています。
冬をいかに暖かく過ごすか
先進国において健康とは「冬をいかに暖かく過ごすか」にかかっているということです。
実際、カナダやスウェーデンなど寒さが格別に厳しい国では、季節ごとの死亡者数の差はそれほど大きくありません。
これは長い歴史の中で、冬を乗り越えるための備えが既にしっかりとできているからだと考えられます。
冬場、暖房の効いた部屋と冷えた廊下や浴室、トイレとの温度差は15度ほどにものぼります。
また、深夜や早朝には布団の中の温度と室温との差が20度近くになり、布団から抜け出すのがつらくなります。
急激な温度差は人の体にとって大きな負担になり、心臓発作や脳卒中を引き起こす「ヒートショック」の危険にさらされます。
夜中に目が覚め、トイレに行こうとして亡くなってしまうケースは後を経ちません。
こうしたヒートショックを防ぐためにも室内の暖かさを保つことが大切です。
構造材や断熱材、窓サッシ、フロア材や内装材など家づくりをトータルにコーディネートして、カラダに優しい家づくり・注文住宅がいま改めて求められているのではないかと思うのです。