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ワケあり敷地に家を建てる

2019-11-07
注文住宅イメージ

工務店の腕の見せ所

ワケありの敷地など制約のある土地を意外と工務店は好む。

その制約をいかに設計で克服し、逆にメリットとするか。

ただの四角い、条件のいい土地では誰が設計しても似たり寄ったりかもしれない。

しかし、ワケあり敷地こそ腕の見せ所。

もちろん、あきらめなければいけないことだって出てくる。

しかし、これは無しでもよい、これは欲しいという意向さえ明確にしておけば、工務店はユニークなプランをつくってくれるものです。

 

また、ワケあり敷地の場合こそ、土地を探す時から工務店と一緒に見てまわるべき。

そもそも土地は、広さや最寄り駅からの距離、方位程度の「不動産情報」では、建築の可能性はまったく見えてこない。

不動産情報的には「悪い土地」が、工務店の手にかかれば「良好な土地」になることは、いくらでもある。

土地は設計の専門家の目で見てこそ、価値がわかるのです。

「普通でない土地」に出会ったら、そしてそこに価格や駅からのアクセス、周辺環境などで魅力があったら、ぜひ工務店と一緒に見て、その建築的な可能性を確かめるべきなのです。

 

建て主の協力も欠かせない

たとえば、公道から細い通路でつながり、四方を家に囲まれた土地(旗竿地)でも、通路部分に一定の幅があれば、ガレージスペースに使うことができます。

また、四方を囲まれていても、外に閉じて中庭を設けるデザインにすれば、周囲からの視線は全く気にならない。

かえって公道から引っ込んでいる分、静かでリラックスできる環境が楽しめる。

 

段差のある土地でも、それを活用して道路レベルに半地下のガレージをつくれば、敷地が立体的に使える。眺望の良さや風の通りのよい事もまた魅力。

また狭小地も、地下や屋上のスペースを生かす、階段スペースを居室に組み込む、視線を抜く、といったさまざまな設計上の工夫で、広く伸び伸びと暮らせる家になるのです。

 

もちろん、こうした土地に建築する場合は、建て主側でも、一定のことをあきらめたり、後回しにする協力が必要になる。

狭いから無理と言われながら、ガレージに固執したり、自転車置き場が欲しい、玄関ポーチがいる、と譲らないのでは、設計は行き詰ってしまうでしょう。

 

工事の観点からもチェックが必要

狭小・変形などのワケあり敷地で家を建てるなら、工事車両の出入や、資材の搬入も難しく、そのためにいろいろ知恵を絞らなければならないケースがある。

そのために工法が限定されたり、工事費がアップすることもある。

ユニット工法のハウスメーカーでは、必ずクレーンを使うことになるが、旗竿地や段差のある土地では、クレーンが使えず、そのため建築ができないというケースがしばしば見受けられる。

狭小地の土地を購入するときは、建築物だけでなく、工事の視点でも道路状況を確認しておいた方が良い。

これも土地の「不動産情報」には含まれないことなので、やはり工務店など設計・施工の専門家に同行してもらうのが一番確実だ。

 

ワケあり敷地別のデメリットと対応策

横長敷地

デメリット

・東西に細長い場合は熱負荷が大きくなり冷暖房コストが大。

・前面道路からの人目を防ぐ工夫のためにエクステリア工事費が大きくなる。

・前面道路の騒音の影響を受けやすい。

対応策

・南面が長ければ日当たりの良い居室を得やすい

・長い動線は収納と併用するなどすれば無駄がない。

・風通しが良いので、快適な居室をつくりやすい。

 

縦長敷地

デメリット

・南北に長い場合は通風や採光が得られにくい。

・配管や配線の総延長が長くなる。

・外周壁が長くなるためコスト面で不利。

・外から見える部分が少ないので外観デザインは期待できない。

対応策

・京町屋のような中庭を設ければ通風や採光が得られる。

・コートハウスのようにプライベートな空間を楽しむデザインがしやすい。

・外観が見えないので、性能本位で安価な外壁材を選べる。

 

旗竿敷地

デメリット

・四方を囲まれているので、通風や採光が難しい。

・非常の場合の脱出路が一方向しかない。

・通路に面積を取られるので、実質の敷地面積が狭くなる。

・給排水などの配管距離が長くなりコストが上がる。

対応策

・2階リビングなどで日当たり問題は回避できる。

・天窓の活用で通風や採光を確保できる。

・脱出路は隣家への木戸を設けるなどして対応可能。

 

段差敷地

デメリット

・道路からのアクセスに階段がある。

・段差が大きい場合には建築資材の搬入が困難。

・擁壁などの費用が別途必要になるケースがある。

・車庫のために土をスキトル費用が発生する。

対応策

・重機を1回使えば重量資材の搬入は可能。

・擁壁の費用が大きい場合は売主負担で交渉したい。

 

三角敷地

デメリット

・矩形の間取りをベースにするのが困難になる。

・規模にもよるが無駄なスペースが生まれやすい。

・三角の方向によっては南面や道路面が極端に狭くなる。

・三角の方向によっては風通や採光が十分に得られない。

対応策

・ダイナミックなデザインで変形を克服する。

・敷地の形状に沿ったデザインを前提に空間を構成する。

・変形に沿ったプランにすることで無駄なスペースが生じない。